はじめての講演

私の人生の中で、人前で「講演」をするという機会がめぐってくるなんて夢にも思っていませんでした。

昨日、目黒区の東山社会教育館で「ツレがうつになりまして。」の講演をツレと一緒にしてきました。
東山社会教育館では2月に「ストレスはありますか?」というテーマで毎週ストレスの専門家を呼んで講座をするということになり、第2回目の講師として私たちが呼んでもらえたのでした。

東山社会教育館

実は今までも何度か講演会の依頼が来ていたのですが、私は人前に立って何かをするというのがとても苦手なことで、講演なんてとんでもない!と思ってお断りしてきました。でも、今回はツレが「ボクがほとんどしゃべるから君は時々しゃべればいいよ」というのでお引き受けしました。

一応出かける前にふたりでリハーサルもして「ここでボクが聞くから答えてね」と、みなさんのお配りするレジュメ(これが17ページもある大作です。ツレが作りました)に答えるセリフも書いていきました。
でも……、実際にたくさんの人を目の前にして私は全く何もしゃべれなくなりました(^_^; 

2時間ほぼ全部ツレがしゃべりました。人前でしゃべるのはじめてなの?というくらい、ツレのしゃべりは上手でした。

私が「ああ、どうしよう、ダメだ」と思ったのは、たくさんの人がこちらを見ていること(当たり前なんですけど)と、こちらがしゃべっても答えてくださらないことでした(聞きに来てるんだから当たり前なんですけど(^_^; )
それで頭の中が真っ白になってしまい、もう全然しゃべれなくなりました。

だけど、今回この講演をやって良かったなと思ったのは、ツレが人前で話が出来るくらい回復したのだなと認識できたことです。
昨日も講演の中でお話したのですが、うつ病って「もう治った!大丈夫だ!」と思ってるうちはまだ治ってないと思うんです。私たちはそれでいつも痛い思いをしてきました。
いつのまにか普通の暮らしをしていて、あれ?そういえばもう落ち込みとかしばらくないなあ……ってそういう風になってきたら回復してきていると思うのです。

ツレは去年の11月頃に「あれ?そういえば電車にも乗れるし、ひとりで出かけられるようになってるじゃない」と、なって、12月にお医者さんから「もう薬はなくても大丈夫ですね」と言われました。薬を出してもらえなかった時は一瞬不安になったそうですが、「またいつでも出してあげますから大丈夫」と言われて安心して帰ってきました。
それから1ヶ月、普通に暮らしてます。雨が降っても最近は大丈夫になってきました。

だけど……「本当に治ったの?」という不安はありました。「もう治った!これで大丈夫!」という確信がないだけに「また以前のようにがくっと落ち込みが来るのでは?」と思っていたのです。

でも、昨日のツレを見て「あ、本当に大丈夫になったんだ」と思いました。あきらかにもう私よりしっかりしてるし、自分で思ったことを自分で管理しながら言えるようになってる。
講座を聞きに来たお客様の質問にもスラスラ答えてるし、これならもう大丈夫かなってほっとしました。

私は全然しゃべれなくて本当に申し訳なかったのですが、思いがけず、ツレの回復ぶりを見ることが出来てこの講演を引き受けてよかったなあと本当に思いました。
講演を聞きに来てくださったみなさま、ありがとうございました。
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